失敗しないで防水工事を行うために必要な基礎知識

トップページ > 失敗しないで防水工事を行うために必要な基礎知識

無料 一括見積もり依頼はコチラ

失敗しない防水工事を依頼するために必要な基礎知識

防水工事には、たくさんの種類の工事方法があります。防水工事を依頼して、見積書などによって防水工事の方法を提案されても、本当にその工事方法が適切かどうか、何も知識がないとまったく判断ができません。

防水工事は工事が完成してから、長く使って防水がしっかりできていることが確認できないと、その工事方法が適切だったのかどうかが分かりません。また、ちゃんと防水できていても、例えば、軽自動車で良かったのに高級な大型車で提案されて工事ができていたのかまでは判断がつきません。

信頼できる防水工事業者であれば、手抜き工事もなく、防水工事の場所に応じた、そして工事依頼主の要望も十分に考慮された工事方法を提案してくれます。しかし、中にはそのような良心的な工事業者ばかりではないこともあります。

良心的な業者であっても防水工事に関する知識があれば、より良い防水工事を依頼できる可能性もあります。あるいは、1つの防水工事会社が全ての防水工事を必ずしも行えるわけではありません。適切な防水工事が別にありながら、提案されない可能性も考えられます。

そこで、失敗しない防水工事を依頼できるように、依頼された防水工事が本当に適切かを少しでも理解できるように、知っておきたい防水工事に関する基礎知識について説明します。

防水工事の依頼が難しい理由

防水工事の依頼が難しいのは、防水工事の方法が多数あって、どの方法がどのような場所の防水に効果があるのかが分かりにくいことです。さらに工事の前にどのような工事が行われ、工事方法別にどのような効果が得られるのかが目に見えないことです。家電製品や自動車製品のように事前に完成された製品は、使い方や機能・性能がイメージしやすいので、製品を購入するときに大きな間違いを犯すことはありません。

しかし、防水工事では、依頼する側に工事方法ごとに具体的なイメージが持てないので、工事業者の見積りをそのまま聞いて、判断するのは工事価格だけとなり間違った発注をしてしまう可能性が生じます。

防水工事に関する基礎的な知識があれば、少なくとも大きな間違いをしてしまうことを避けられます。

知っておきたいいろいろな防水工事の方法

多数ある防水工事の種類について、それがどのような材料で工事されるのか、どのような特徴を持っているのか特徴を知っておくことはとても重要です。防水工事の方法に関して、使用する材料別、施工形態別、施工工事の工法について説明します。

防水工事に使用する材料別の工事種類

1.アスファルト防水・改質アスファルト防水

アスファルト防水・改質アスファルト防水とは、液状またはシート状にしたアスファルト・改質アスファルトを熱溶解しながら何層にも重ねて、防水層を作る工事方法です。この防水工事のメリットは、実績も多く信頼性の高い工法であること。また、厚みのある防水層ができるので、耐荷重性、防水効果に優れて、耐用年数が長いことです。

デメリットは、アスファルト溶融させるときに臭いや煙発生することから都市部や密集した地域では工事ができにくいこと。および、突起部の処理が難しいなどで、狭い場所での工事に不向きで、比較的平面の広い場所での工事しか向いていないことです。そのほか、温度の変化に弱く、破断しやすいという欠点があります。

なお、従来の熱工法に代わって、臭いを抑え、比較的狭い場所でも工事が可能なトーチ工法や常温工法(冷工法)が可能になっているので熱工法によるデメリットは解消されています。

2.合成樹脂・合成ゴム系防水

合成樹脂・合成ゴム系防水とは、合成樹脂の「塩化ビニール系樹脂」、「ウレタン系樹脂」、「アクリル系樹脂」、「ポリオレフィン系樹脂」、「エチレン酢酸ビニール系樹脂」、および「合成ゴム」などの化学合成樹脂・ゴムを材料にして、防水層を作る工事方法の総称です。

代表的な「塩化ビニール系樹脂」、「ウレタン系樹脂」について説明します。

2-1 塩化ビニール系(樹脂)防水
塩化ビニール系(樹脂)防水とは、塩化ビニール樹脂系のシート状の材料1枚で構成される防水層を作る工事方法です。

メリットは、素材の着色性が良いのでカラフルなこと、日光による紫外線・熱・オゾンに対し耐久性が高いこと、防水工事に一般的に防水工事に必要とされる保護塗装が原則として不要なことです。また、新規でなく既存の防水層のやり直し工事では、既存の防水層を撤去しないで、施工できるので、下地の処理コスト削減ができるメリットもあります。

デメリットは、人が歩く場所には原則不向きなことです。また、経年劣化で割れたり穴が開いたりすること、シート状にして工事するためシートの端で防水がしっかりできていないと、そこから雨水が入り込むため防水効果が弱くなります。

2-2 ウレタン系(樹脂)防水

ウレタン系(樹脂)防水層とは、ウレタン樹脂系の防水材料を塗り付けたり、吹き付けたりして防水層を作る工事方法です。

メリットは、長期間の防水効果があること。防水層が軽量で建築物にかかる負荷が小さいこと。塗り付け・吹き付けなので防水層が複雑な形状の箇所に簡単に工事が可能なこと。および、カラフルな仕上げができることなどがあげられます。

デメリットは、乾燥するまで待たないといけない期間があり、工期が長めになること。および、均一な塗膜を作ることが難しいことなどです。

3.FRP防水

FRPは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称です。

FRP防水とは、ガラス繊維にプラスチック樹脂を浸透させ固めたFRPを防水材料にして塗り付けることで防水層を作る工事方法です。

FRP防水のメリットは、他の合成樹脂の防水工事に比べ、重歩行や摩擦にも強いこと。軽量で引っ張り・曲げ強度に強いこと。塗り付けて防水層を作る工事のため、狭い場所でも防水面が平面でなくても、また細かい施工が必要な場所でも工事が可能なことです。また、塩化ビニール系(樹脂)防水、ウレタン系(樹脂)防水と同様に、既存の防水層を撤去しないで、施工できるので下地の処理コスト削減ができるメリットがあります。速乾性で工期も短くできます。

デメリットは、コストが他に比べると効果であること、工事中に臭いが出ること、および工事が外気温に左右されやすいことです。

4.セメント系防水

セメント防水とは、防水材料にセメント類を用いるモルタル防水、ケイ酸質系防水、およびポリマーセメント系防水の3種類あります。

材料をハケや吹付機などで広げて防水層を作る防水工事工法です。主に、地下の防水工事、水槽などの防水工事に用いられます。

メリットは、耐久性があり、補修も簡単であること。施工面が平面でなく、また複雑な形状でも工事が簡単できること。および、継ぎ目がなく工事できるので見た目が良いことです。

デメリットは、セメント系防水の下地は、原則、現場で型枠などに流し込まれる打コンクリートに限定されること。および、コンクリートの強度や表面状態などに、防水層の品質が左右されることです。

防水工事の施工形態での分類

大きく分類すると、防水面に防水材料を塗り付けることで防水層を作る「塗膜防水工事方法」と防水性能のある材料をシート状にして、それを防水面に張り付けて防水層を作る「シート防水工事方法」、およびこの2つの工事方法を混合して防水層を作る「複合防水工事方法」があります。

1.塗膜防水工事方法

防水性のある材料を防水面に塗り付けることで防水層を作る工事方法で、ウレタン系防水、FRP防水、ポリマーセメント防水などで用いられます。

特徴は、継ぎ目のない防水面を作れることです。工事として、下地の状態が品質に影響し、防水膜厚の管理が重要な工事方法です。

2.シート防水工事方法

防水性のあるシートになった材料を防水面に張り付けて防水層を作る工事方法で、合成ゴム防水、塩化ビニール防水などで用いられます。

特徴は、材料が均質で防水層の品質が均質であること、シートを熱などで下地に密着させて工事が行われるので防水性の高い防水層が作れることです。シートが柔らかく薄いため、下地や外部からの影響を受けやすく弱いことやシートとシートの接合部の防水をしっかりしないと防水性能が落ちる工事方法です。

3.複合防水工事方法

複合防水工事方法とは、2種類以上の防水材料を使用し、シート状の材料を液状の材料で張り合せるなど、塗膜防水とシート防水の工事方法を複合して行う工事方法のことです。

特徴は、塗膜防水工事方法とシート防水工事方法の両方の長所があることです。欠点も両方ありますが、一部の欠点は補完されて欠点がなくなったり、小さくなったりします。

防水工事で行われる作業工法

同じ防水材料を使い、同じ施工形態の工事方法でも、作業する工法が複数あります。あるいは、特定の防水材料で行われる工法などについて、できるだけ多く紹介します。

1.かぶせ工法

新規の防水工事ではなく改修工事のとき、すでに工事されている防水層やその仕上げ層をそのままにして、その上から、あたらしい防水層を張ったり、塗り重ねて防水層をあたらしくする工法のことです。

2.後やり工法・先やり工法

後やり工法とは、防水面の下地ができてから、防水工事を行う工法のことです。先やり工法とは、コンクリートを型枠に流し込む前に、防水工事などを先行して行う工法のことです。

3.密着工法(圧着工法・接着工法)

密着工法は、下地に対して全面的に接着させて防水層を作る工法です。圧着工法という場合、防水シートに圧力を加えて、ローラーなどを使って下地に強く密着させます。接着工法という場合は、防水シートを接着剤などで下地などに張り付けで密着させます。

4.脱気工法

シート防水工法では、下地と防水層の間の水分や溶剤が気化して、シートがふくれあがる現象が起こります。このふくれの原因を換気することで防止するために、防水層に脱気装置を取り付ける工事方法のことです。

ふくれができると、防水面の耐久性を悪化させるため防止しなければなりません。

5.絶縁工法(通気緩衝工法・脱気絶縁工法・機械的固定工法)

防水層を下地に密着させないで、その大部分を浮かせる工法のことです。シート防水では機械的固定工法、塗膜防水工法では通気緩衝工法(脱気絶縁工法)という言い方もされます。

通気緩衝工法とは、通気性能を有する通気緩衝シートを下地と防水層の間に組み込んだ工法です。雨水などの浸み込みを防水するとともに、水分を下地に含まれる蒸気化した水分を脱気装置で外部に排出するため、ふくれなどが発生しない信頼性の高い工法です。

機械的固定工法とは、下地に緩衝材を介して、防水シートを固定するための金具を用いて、機械的に固定する工法です。下地水分の水蒸気を外部へ逃がすことができるため、通期緩衝工法で必要な脱気装置は不要です。

6.押え工法・押え断熱工法

防水シートの上に保護層としてコンクリート、モルタル、ブロックなどを敷設し、歩行を可能にする工法で、防水層の保護と歩行ができることなどを両立したい目的があるときに用いられます。

押え断熱工法は、防水層の上または下に断熱材を使って、押さえ工法で断熱効果も得るときに行われる工事方法です。

7.熱工法

アスファルト防水では、一般的に熱でアスファルトを溶解して工事を行うため、熱工法と呼ばれます。熱工法では臭いと煙が出るデメリットがあります。

8.常温工法(冷工法)・トーチ工法

アスファルト防水の熱工法のデメリットを解消するために行われる工法が断熱工法(冷工法)・トーチ工法です。

トーチ工法とは、防水材をトーチバーナーであぶり、防水材の一部溶解させて施工する工法で、臭気、煙がほとんど出ない工事方法です。

常温工法は、熱を使わないで常温で反応する硬化型ポリマー改質アスファルトと合成繊維不織布の補強層とを、常温で張り合わせて工事する工法で、臭い、煙は出ません。



防水工事 一括見積もり依頼